隙間風の吹くアパートの寒さに
僕は押入れの奥にしまっていたコタツのことを思い出した。
最近、急に寒い日が増えてきた。
コタツは昔住んでいた家のテーブルとして使っていたもので
僕がここに引っ越す時に持ってきた。
今の実家の居間には、このコタツの入り込む余地はない。
あの家庭に自分の居場所がない僕と似ていた。
組み立ててスイッチを入れると埃の匂いがした。
窓の外を見ると雪、どうりで。
外出する気にはならなかったので、
テレビをつけた。
休日の日中は何も面白い番組がない。
でもそれでかまわない。
なにか音が欲しかっただけだ。
タバコに火をつけて読み掛けの小説を手に取る。
『ビクン』と体が弾けた。
どうやら小説を読みながら寝てしまっていたようだった。
テーブルの上にはヨダレの水たまりができていた。
僕はそれをティッシュでふき取りゴミ箱に投げ捨てる。
ゴミは綺麗な放物線を描きゴミ箱の中に吸い込まれていった。
それははからずとも宮里兄弟(次男)が
ホールインワンを達成した瞬間と一致したという*1。
*1:休日ってゴルフとかやってるじゃないですか