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オイル

「そういえばあん時さー」 「『そういえば』が勿体ない」 「それ言うならツッコミで使っちゃうのももったいなくねー?」 「別にいいよ。どうせみんな最後だと思って自棄になってるし」 「じゃあ言うなよ」 データの転送量に限りがあるとわかって40年経った。…

俺童話

男の子と女の子がいました。 二人は仲の良い兄妹でした。 二人は両親と一緒に平和な生活を営んでいましたが、 ある日、両親が事故で死んでしまいました。 女の子は悲しみにくれました。 男の子は外で働き、二人で生活するためのお金を稼ぎました。 時が経ち…

ドア係

就職セミナー会場でドア係に一目惚れしたマサオ。 「俺はこのビルで働くぞ!」 春。 無事このビルに事務所を構える企業に就職。 毎日帰宅時にタクシーを使い、ドア係に見送られることに幸せを感じる。 (でもメーターが上がる前に降りる) そんなある日、ド…

no mean

「おぉ・・・」 耕太郎は米を食べ、思わず声をあげた。 ずっと求めていた味だったからだ。 「やりましたね!」 助手の一人に声をかけられ、我に返る。 周りに人がいることをすっかり忘れていた。 「ありがとう・・・君たちの助けがあったからこそ、だよ」 正直な所…

ラッキーストライクのメンソール

どこをどう逃げてきたのかは覚えていない。 気付けば、周りには沢山の木々。 逃げ切ることは出来ないと、頭の中では理解しているが、 本能が体を動かす。 遺伝子に組み込まれたプログラムなのだろう。 人の気配を感じ、林の中に足を進める。 川の流れる音が…

万愚節

「午後から豚が降ってくるってさ」 「晴れ時々?」 「いや、曇りのち」 「へぇー、かわいいかなぁ」 「可愛くはないだろ。…ひゅー…ぐしゃ。だろうな。」 「そんなリアルな!?」 「嘘だよ」 「なぁんだ」 「ほら、今日はあれだからな」 「あぁ、そういえば……

水たまり

隙間風の吹くアパートの寒さに 僕は押入れの奥にしまっていたコタツのことを思い出した。 最近、急に寒い日が増えてきた。 コタツは昔住んでいた家のテーブルとして使っていたもので 僕がここに引っ越す時に持ってきた。 今の実家の居間には、このコタツの入…

このカテゴリについて

3回しか書いて無いのにいまさらびっくり。 1年以上放置でした。 時間が出来たらまた書きます。 恥を撒き散らして生きるのです。 でもさー、改めて読むと タグで書いてた時のよりだいぶ良くなってるよね。 タグの時が酷かったのもあるけど。 やはりやれば成…

僕's side

僕が誰だって? 僕は僕、他の誰でもないんだよ。 わからない? じゃあ僕のことを説明するよ。 僕は彼女に恋をしていた。 一言も話したこともなかったけれど、一目惚れだった。 彼女のことを考えると胸が締め付けられたんだ。 このまま想うだけでは辛くてしょ…

彼女's side

彼女は一週間くらい前から彼と付き合っている。 どうやって知り合ったかというと 道端で声をかけられた、早い話がナンパだ。 彼女はそもそもそういった行為に応じる女ではなかったけれど 彼があまりにも真摯に話しかけてきたので それに応じて・・・今に至っ…

彼's side

「なんだこれ?」 彼が道を歩いていると奇妙なものが落ちていた。 「透明なびーだま?・・・か?」 彼は落ちているびーだまのようなものを拾おうと 腰をまげ、手を伸ばした。 彼がそのびーだまのようなものに触れると 『それ』はふっ・・・と空気に溶けるよ…

チェンジザワールド

つまらない顔をして歩いていた。 目の前では友達達が楽しそうに話しているけれど 私はその会話に何も感情がわかない。 だからつまらない顔で歩く。 友達との距離が5メートルになったとき 私だけ十字路を右に曲がった。 地方銀行の階段に腰をかける。 「私が…

ってか何書けばいいんだ

ひとまず勝手にお題を決める。それについて書こう。 「ジグソーパズル」(目の前にあったから)。 キャンバスに向かっていた私は筆を置いた。 多分この絵も駄目だろう・・・きっと誰にも評価されない。 自分がそう思うくらいだから他人に良く思われる作品で…