僕's side

僕が誰だって?
僕は僕、他の誰でもないんだよ。
わからない?
じゃあ僕のことを説明するよ。
僕は彼女に恋をしていた。
一言も話したこともなかったけれど、一目惚れだった。
彼女のことを考えると胸が締め付けられたんだ。
このまま想うだけでは辛くてしょうがないから
僕は思い切って告白することにした。
でも彼女がどこにいるのかわからないから
その一目惚れした現場にずっと立っていたんだ。
待ってる間はずっとどきどきして体中が締め付けられた。
3日間、仕事も休んでそこに立ってたけれど・・・彼女は来なかった。
待ち始めて4日目。
僕は何か体が変わっていくのを感じたんだ。
どんどん中心に縮んでいく感じ・・・っていうのかな。
その結果僕の体は消えて
感情だけが丸まって落ちた。
多分精神が締め付けられたのが体に影響が起こったんだ。
そんなはずあるか。って?
別に信じなくたっていいさ。
で、僕(僕の感情?)はそのままただ彼女のことを考えてた。
「なんだこれ?」
誰かの声が聞こえた。
「透明なびーだま?・・・か?」
多分誰かが僕のことを発見したんだろう。
僕は球の内側にいるから僕の色を知らなかったんだけど
透明だったんだね。
感情に色があるのなら桃色あたりだと思ったんだけどな。
何かが僕に触れて僕は『それ』に吸い込まれた。


彼は僕が消えてしまったように思ったようだけど
僕は彼の中の感情として取り込まれたんだ。
その後は・・・まぁ・・・わかるだろう。
彼と彼女はうまく行きそうだよね。
でも僕は彼女が幸せなのならそれでいいと思った。
相手が誰であったとしてもね。
それに気付いた時に初めて、
僕は彼女を愛していたんだとわかったんだ。
おわり。