二十歳より

閑散とした住宅街を歩く僕の目の前に、
夕日が作る長い影が出来ている。

『何を間違ってしまったんだろう』

振り向くことも出来ないまま、黙って歩く僕を、
12秒遅れて彼女は泣きながらついてきていた。

彼女から伸びる影が、僕の足元に見える。

僕には彼女を理解することはできない。
でも、彼女を大切だと思う気持ちや、
好きだとか、一緒にいたい気持ちはある。
それで十分じゃないのか?

もやもやした思考が巡る。
気付けば街灯が灯っていた。
さっきまで見えていた影は消えていて、
あわてて後ろを振り返るけれど、
何もない道が続いているだけだった。